脆弱性・ 紛争・暴力 アルファベットでみるIDA アルファベットでみるIDA | 1 発行：世界銀行グループ開発金融総局 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル10階 世界銀行東京事務所 ウェブサイト：www.worldbank.or.jp/ida/ フェイスブック：www.facebook.com/WorldBankTokyo ツイッター：www.twitter.com/worldbanktokyo 2016年6月 写真： 表紙：Tom Cheatham/世界銀行—チン州の路上で足踏みミシンを使って裁縫をする女性（ミャンマー） 4ページ：Graham Crouch/世界銀行—基礎的なサービスや施設へのアクセスを可能にした四季を通じて利用できる村の道路（アフガニスタン） 5ページ：Stephan Gladieu/世界銀行—中央アフリカ共和国の建設労働者 6ページ：Sarah Farhat/世界銀行—ブバンザ州で稲の畑を歩く女性（ブルンジ） 7ページ：Dominic Chavez/世界銀行—700人以上の生徒の給食を作る調理人（リベリア） 8ページ：Arne Hoel/世界銀行—首都ジュバでマラリア対策用の蚊帳の中で眠る子供たち（南スーダン） 9ページ：Lakshman Nadaraja/世界銀行—スリランカの建設労働者 10ページ：世界銀行—コソボの土地 2 | アルファベットでみるIDA アルファベットでみるIDA： 脆弱性・紛争・暴力 数字でみるIDA 主な成果 途上国では、数百万人が貧困か は、IDAの19の援助受入国で進め で進行中のプロジェクトは、性 ら抜け出しつつある一方で、紛 られているプロジェクトにとっ 的暴行やジェンダーに基づく暴 争や暴力、国家の脆弱性のため て有益な情報となります。 力の防止と意識向上に貢献して に貧困の悪循環に陥っている人 います。リベリアでは、飢餓防 脆弱性の克服は可能です。その 々も同じ数に上ります。脆弱 止と、エボラ危機後の農業セク ためには正しく機能する制度の 性、紛争、そして暴力は、よう やく手にした開発成果を帳消し 構築が必要であり、IDAの柔軟で 予測可能な国別モデルが特に有 ター再建のため、農業に従事す る2万世帯に質の高いコメの種 5,200 万日 にしかねず、結果として、時に 子を配布しました。「アフリカ アフガニスタンで創出された 効です。IDAは、大規模な開発課 雇用の日数 は多くの人々が強制的に国を追 の角」と「大湖」地域では、難 題には不可欠な存在であり、そ 2003～15年 われ、難民とその受入国に大き 民や国内避難民の生活とサービ の際、知識と有利な条件の融資 な影響を及ぼしています。 スへのアクセスを向上するため を提供し、ドナーとの連携（マ に、難民を受け入れている 世界銀行の最貧国向け基金であ ルチドナー信託基金の実施を含 コミュニティを支援しました。 る国際開発協会（IDA）は、こう む）のためのプラットフォーム した国々で取組みを進め、厳し の役割を果たし、ドナーと借入 本書にまとめられた事例が示す い状況に変化をもたらしていま す。IDAは、強靭な制度と経済の 国の両方で透明性と説明責任の 強化を図っています。 通り、脆弱・紛争国における IDAプロジェクトは、こうした 69,000 人 再構築に必要となる融資や知識 国々の状況を変えつつありま コンゴ民主共和国で 困難な状況ではありますが、IDA コミュニティのインフラ を提供し、人々が平和で生産的 す。本書の他にも、IDAの活動 の支援は、各国が危機や脆弱な 再建の恩恵を受けた人の数 な生活を取り戻すための基礎条 全般や、アフリカ、ジェンダ 状況から脱却し、開発に移行す 2014年 件を整備することで、脆弱・紛 ー、気候変動、雇用・経済変 る際に役立っています。アフ 争国を支援しています。 革、ガバナンス・組織制度の構 ガニスタンでは、IDAの支援に 築に関するIDAの支援を国別にま IDAは、2000年以降、脆弱・紛 より、熟練労働者と単純労働 とめた「アルファベットでみる 争国に対し285億ドル以上の資 者に5,200万日分の雇用を創出 IDA」シリーズをご覧ください。 金を提供しています。紛争や脆 し、25,000人以上に職業訓練を （ida.worldbank.org/abcs） 弱性の根本的原因を探ること 行いました。コンゴ民主共和国 アルファベットでみるIDA | 3 アフガニスタン 2012～15年、アフガニスタン全 体で、全長732キロの第三種道路 2003～15年、給水・衛生、農村 と、そこにかかる橋梁825メート 道路、灌漑、電力、保健医療、 ルを完了。同期間に、3,000キロ 教育の改善のためのプロジェク を超える第三種道路を修復。 トを含む86,000件の小規模な復 興開発活動を特定・実施するた ブルンジ め、「国家連帯計画（NSP）」 と、IDAをはじめとする31のパ 2012～13年、総合申請所が新設 ートナーが地域開発審議会と協 された結果、建築許可取得の所 働。このプログラムを通じ、熟 要日数が137日から99日に短縮。 練労働者と単純労働者に5,200万 日分の雇用を創出し、秘密投票 2010～15年、農業生産性向上 で民主的に選出した33,400の地 プロジェクトの下、小規模農家 域開発審議会を全国に設立。 の1ヘクタール当たりコメ生産 高が、2.5トンから4トンまで増 2013～15年、技術職業訓練学校 加、バナナの1ヘクタール当たり の生徒を対象とする職務技術の 生産高は、9トンから22.7トンに 習得と所得向上を図るプログラ 増加。 ムにより、25,696人が恩恵を 享受。 中央アフリカ共和国 アフガニスタン 2011～15年、事業開拓のための 2014～15年、政府の行政能力向 贈与を中小企業434社に提供し 2012～15年、アフガニスタン全体で、全長 732キロの 上と、紛争後の公務員給与シス 1,385件の雇用を創出。 テムおよび関連財務管理システ 第三種道路と、そこにかかる橋梁825メートルを完了。 ムの再建を目指す「中央アフリ 同期間に、3,000キロを超える第三種道路を修復。 2011～15年、ジャララバードの カ共和国緊急公共サービス対応 病院の患者数が1日50人以下から プロジェクト」により、 税徴収 150人以上に増加。 4 | アルファベットでみるIDA 額が50％増加するなどの成果を 2007～12年、教師1,023名およ コンゴ民主共和国 達成。税収増加を受け、政府の び校長22名を採用し研修を実 サービス提供機能を再建。 施。3,000の新カリキュラムを 2014～15年、性的暴行を受けた 提供し、教科書178,500冊、教材 3,845人がホリスティック・サ 2015年第4四半期に、IDAの 5,596セットおよび5,130台の机 ービス（精神と身体を含めた総 「労働の対価としての現金給 を配布。 合的医療）を受診し、3,244人が 付」プログラムを通じて、 婦人科で治療を受け、地域住民 99,000日分の雇用を創出。 58,627人が性的暴行やジェンダ チャド ーに基づく暴力についての意識 2014～15年、「食糧危機対応・ 2003～12年、260万冊の図書を と知識を向上するための活動に 農業再活性化のための緊急プ 学校に配布し、400の教室を建 参加。 ロジェクト」の一環として始 設・整備、2万人が読み書きを習 まった食用作物生産の恩恵を 2014～15年、都市部の120万人 い、コミュニティの教師11,700人 147,105人が享受。同プロジェク が、より安全な飲料水へのアク に研修を実施。 トの下、5,005トンの食糧が配布 セスを確保。 され、種子生産が371トン増加。 2012～15年、123,500人が農作物 生産高増加による恩恵を享受。 2014年2月～12月、コンゴ東部 2012～15年、327,843人が保健、 で学校、給水所、橋などコミュ 栄養、性と生殖に関する健康の ニティ・インフラの再建により コモロ連合 基本的なサービス・パッケージ 69,017人が直接的な恩恵を享受。 にアクセスを確保。 世界的な危機および2012年の洪 中央アフリカ共和国 2011～15年、全長1,765キロメー 2000～12年、119,000人（妊婦 水に対応するために実施された トルの道路など、農村インフラ 2015年第4四半期に、 IDA緊急融資による「労働の 1万人以上、教師2,000人、軍関 の建設により、500の村落が恩恵 IDAの「労働の対価 係者とその家族7,000人近く）が 対価としての現金給付」と を享受。 としての現金給付」 HIV検査を受診。 「コミュニティ主導のインフラ プログラムを通じて、 整備プロジェクト」により、 71,000人以上が直接的な恩恵を 99,000日分の 享受。 雇用を創出。 アルファベットでみるIDA | 5 コートジボワール 2015年時点で、都市インフラの 修復と建設により、都市部で定 期的に発生する洪水から新たに 61,800人を保護。 2012～15年、農村道路634キロ を修復。 2008～12年、元兵士、武装した 個人、危機的状況にある若者な ど18,000人が社会復帰のための 活動に参加。 2008～12年、74の地方事務所が 建設されると共に、労働集約型 の手法により農村道路65キロを 修復。 2012年、HIVに感染した妊婦の 44％に対し、母子感染のリスク 低減のため抗レトロウィルス ブルンジ 治療を実施（2007年には 2010～15年、農業生産性向上プロジェクトの下、小規模農家の1ヘクタール当たりコメ 未実施）。 生産高が、2.5トンから 4トンまで増加、バナナの1ヘクタール当たり生産高は、 ハイチ 9トンから22.7トンに増加。 2014年10月～2015年9月、 98の自治体で、入院患者 9,776人にコレラの検診と治療 6 | アルファベットでみるIDA を提供。同期間に、コレラに 支援を図る9つのイニシアティブ 2012～14年、762,882人が保健、 対する意識向上キャンペーン を実施。 栄養、性と生殖に関する健康の の一環として19,320世帯を訪問 基本的なサービス・パッケージ し、19,800軒の住宅と3,515個の コソボ へのアクセスを確保。 トイレを消毒。 2008～15年、紛争後の借地借家 2012～15年、予防接種を受けた 2012～15年、ポルトープランス 権の安定と不動産市場整備を図 子供は149,376人。2012～14年、 首都圏で、太陽光発電による街 るプロジェクトにより、不動産 熟練した専門家の立会いを受け 灯がともり、18,000人が恩恵を 売買登録の所要日数が30日から た出産は74,593件。 享受。 約10日に短縮。 マリ 2014～15年、恵まれない子供 リベリア の内、私立学校の学費免除を受 2015年9月末現在、43,613世帯 けた人の数が、264,434人から （349,031人）が現金給付と関 飢餓防止ならびにエボラ危機後 372,516人に増加。 連する取組みによる恩恵を享 の農業セクター再建のため、農 業に従事する2万世帯に質の高い 受。受給者の半数以上が女性と 2011～15年、プロジェクトによ コメの種子を配布。 子供。 る支援の結果、初等学校の教師 として新たに2,669人が資格を 2009～15年、都市部の160万世 2011～15年、道路の修復・維 取得。 帯に電力アクセスを確保し、 持のためのプロジェクトの 下、10,800時間の実地研修を 370万人が恩恵を享受。 ホンジュラス 実施。 2007～15年、農村人口の内、季 リベリア 2013～15年、対象地域におい 節を問わず通行可能な道路への マダガスカル 飢餓防止ならびにエボラ て、コミュニティの治安改善対 アクセスを持つ人の割合が、 策の一環である暴力防止プログ 32％から45％に改善。 危機後の農業セクター再 2015年、290万人以上の学生 建のため、農業に従事する ラムに14,388人（内8,000人以上 2万世帯に質の高い が、IDAと「教育のためのグ が女性）が参加。同プロジェク ミャンマー ローバル・パートナーシップ トの下、心理社会的支援、暴力 （GPE）」の資金を受けたプ コメの種子を配布。 防止、コミュニティ・ベースの 2013～15年、学校施設や村のア ロジェクトによる恩恵を享受。 クセス道路の改善を図る基礎イ アルファベットでみるIDA | 7 ンフラ・プロジェクトとサービ ミュニティ出身の若者12,000人 ス・プロジェクト1,800件によ を雇用し、全国で664,000日分以 り、1,729の村落に暮らす85万人 上の雇用を創出 。被雇用者全体 が恩恵を享受。 の60％は女性、16～29才の若者 は53％。 2014～15年度、中退の可能 性がある学生を支援するた 2010～14年、電話の普及率が め、37,000人の学生に現金を 8％から60％に増加し、携帯電 給付。 話による3分以内の市内通話の料 金は、1.20ドルから13セントに ネパール 低下。 2008～14年、内戦犠牲者の遺族 南スーダン 14,300家族と未亡人4,500人が現 金給付を受け、内戦の影響を受 2013～16年、診療所、学校、 けた14,770人に技能研修と就職斡 掘削孔の建設など、29件の 旋サービスを実施。 コミュニティ・インフラ・プロ ジェクトの恩恵を8万人が享受。 シエラレオネ 2014年、マラリア対策用とし 2008～13年、不法漁業を取り締 て長期に使える防虫剤処理済 まり、地場の小規模漁業者専用 みの蚊帳120万張を調達・配布 の水域を設定するプログラムに （2012年は126,451張）。 より、漁業セクターからの公的 2013年、2011年の2,000％増と な収入が、90万ドルから380万 なる374,206人の子供（生後6カ ドルへと、5年間で322％拡大。 南スーダン 月から59カ月）にビタミンAを 2014年、マラリア対策用として長期に使える防虫剤 投与。 120万張を調達・配布（2012年 ソロモン諸島 処理済みの蚊帳 2013年、生後12カ月未満の は126,451張）。 2010～16年、コミュニティでの 47,287人に、ジフテリア、百日 インフラ建設を通じ、脆弱なコ 咳、破傷風の予防のため、DPT3 8 | アルファベットでみるIDA 種混合ワクチンを実施（2011年 イエメン* は16,986人）。 2011年のイエメン危機により貧 スリランカ 困率が2009年の43％から2012年 は55％へと急激に悪化したこと 1999～2014年、内戦の影響を受 を受け、2013～14年に235万人 けたコミュニティの生活改善プ （内、半数以上が女性）を対象 ロジェクトにより、283,000人が に現金給付を実施。 恩恵を享受。同プロジェクトの 2012～15年、101,042人がプ 下、全長2,000キロ以上の農村道 ライマリ・ヘルスケア・サ 路を修復し、54,000ヘクタール ービスの拡充による恩恵を の土地を新たに灌漑。農業や小 享受、121,193人が整備され 規模事業の支援のため、10万世 た水資源へのアクセスを確 帯以上に低金利融資を提供。 保、41,039人が整備された衛生 設備へのアクセスを確保。 トーゴ 2012～16年、IDAの支援を受け 2012～15年、学校90校（教室数 た2件のポリオ予防接種キャンペ 248室）、保健センター13カ所、 ーンの下、21の行政区域で5歳未 掘削孔44、公衆トイレ4、農村道 満児430万人に接種を実施。ま スリランカ 路と踏切2カ所、簡易市場2カ所 た、総合支援セッションを定期 の建設により、3,275人が恩恵を 1999～2014年、内戦の影響を受けたコミュニティの生活改 的に実施して、予防接種、母子 享受。 保健、栄養・疾病管理サービス 善プロジェクトにより、 283,000人が恩恵を享受。 の他、特定の医療施設にアクセ 同プロジェクトの下、全長2,000キロ以上の農村道路を修復 2013～15年、子供の栄養不良に スを持たないコミュニティに対 し、54,000ヘクタールの土地を新たに灌漑。農業や小規模 取り組む社会セーフティネッ する保健教育を提供。 ト・プログラムの一環とし 事業の支援のため、10万世帯以上に低金利融資を提供。 て、14,016人に資金援助を提供。 * イエメンの治安状況は、世界銀行が受託や監視ができないほどに悪化したため、2015年3月11日を もって、一切の世界銀行プロジェクトへの資金提供が中断された。現在も中断は続いているものの、 可能な場合や緊急時には、主要なプロジェクトへの資金提供を再開する取り決めを開発パートナーと 結んでいる。 アルファベットでみるIDA | 9 コソボ 2008～15年、紛争後の借地借家権の安定と不動産市場 整備を図るプロジェクトにより、不動産売買登録の所要 日数が30日から約10日に短縮。 10 | アルファベットでみるIDA アルファベットでみるIDA | 11 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル10階 世界銀行東京事務所 ウェブサイト：www.worldbank.or.jp/ida/ フェイスブック：www.facebook.com/WorldBankTokyo ツイッター：www.twitter.com/worldbanktokyo 12 | アルファベットでみるIDA